もじばけおなう

個人的なメモ

愛しさと切なさと部屋とワイシャツとおれ

皆さんは「優しさは時として人を傷つける」というフレーズを聞いたことがあるでしょうか。

私はありません。

そんな私ですが、クリスマスである本日、ニコレットを買うべく薬局へ赴きました。
女性の店員しかいない、まさに私にとってのパラダイスがそこには広がっていたのです。

コミュ障疑惑のある私が「に、に、ニコレットください」と、若干どもりながら懇願したところ、
「4種類あるんですけどどれにしますか?」というよりどりみどり感を発揮してくれました。
言われたことを従順にこなすことしかできない私ですが、この時だけは「クールミントでおねがいします」と自ら主張することができました。ありがとうございます。

正直ニコレットの話はどうでもいいんですが、本題は帰り道です。
烏龍茶がないと生きていけないことに定評のある私ですので、皆様のイメージを壊さないためにも帰り道にあるファミリーマーツで1リットルのパックを購入しておくことにしました。
嬉々として店内に潜入し、ターゲットを発見する私。きっとニヤニヤしていたでしょう。気持ち悪いですね!


レジに向かおうと振り返った瞬間、彼女がいたのです。


そう、

イチゴのショートケーキです。


一瞬、何が起こったのか理解できない私ですが、直感的にこの子は家に連れて帰らねばならないと悟りました。
挙動不審な様で彼女を抱き寄せ、レジに向かったのです。


しかし。


しかし!



そこに待ち受けていたのはイケメン。
なぜお前のようなイケメンがクリスマスの日にバイトをしているのだ…。
私は驚き戸惑いつつも、彼女を彼の前に差し出しました。
長年付き合った彼女を一晩にして寝取られたかのような錯覚に陥りました。

動揺を隠せずにいる中でふと気づいてしまったのです。私はニヤリと笑いました。

そう、彼はまだ研修期間中。ペーペーなのです。

プロのニートである私がペーペーのバイトをディスるのもアレですが、勝機が見えたかのように思いました。


だがしかし!

そんなにイケメンは甘くなかった!


こともあろうか私のレジ袋に投入したフォークが1本だけだったのです。

なんということでしょう。

見ず知らずのただのイケメンに「おまwwどうせ独りもんやろwww1本だけくれてやるよwwww」みたいな扱いを受けたのです。

絶望する私、(きっと)勝ち誇っていたであろうイケメン。
私の中で何かが弾け、一触即発ニトログリセリン野郎として覚醒する寸前でした。

戦場のように張り詰めた空気を切り裂いた人物が現れたのです。


そう。


ファミリーマーツの店長でした。


「こんなおっきなケーキ一人でたべるわけないっしょ。ちゃんと考えてよ。」


フォークが2本になったのです。天使です。まさに天使。
普段はあまりイケてないオッサンの皮をかぶっているのでしょうか。なんて勿体ないことをするのでしょう。
神々しいオーラと白い翼が私には確かに見えました。


無事に帰宅ミッションを完了した私は、たばこに火を灯し肺を煙で満たし心を研ぎ澄ましました。

優しさは時として私をどん底に突き落とします。

無言でフォークをゴミ箱にダンクシュートしました。